【開催報告】2013年度人間科学研究所アドバンスト研究セミナーを開催いたしました。

人間科学研究所では、2013年度後期に、研究所主催の連続企画「アドバンスト研究セミナー」を実施いたしました。
 このセミナーは、海外を含む研究所内外の研究者と濃厚な研究交流の場を設けることで、研究所内の各プロジェクトの研究活動の活性化や、新たな研究プロジェクトの展開を促すことを目的として行われました。
 2013年度は3件の研究会が採択され、それぞれ充実したセミナーが開催されましたので、その様子をご報告いたします。

第1回 “Child, Caregiver, and Culture”(子ども、養育者、そして文化)

真剣な表情で報告を聞く参加者

 第1回目(10月31日)は、矢藤優子准教授(文学部)が、ちょうど日米フルブライト交流事業で来日されていた、ジョージ・ワシントン大学心理学部のPeg Barratt教授を招聘し、” Child、 Caregiver、 and Culture”(子ども、養育者、そして文化)と題して行われました。
 Barratt教授は、世界各国の育児文化に精通した研究者で、当日は、母親が育児に関して行うさまざまな意思決定(離乳の仕方、寝かせ方、仕事復帰の時期など)とそれに影響を与える要因について、現在日本で調査中の内容とともに報告していただきました。
#img( /uploads/news/54/RIMG0005.jpg ,右からBarratt教授、矢藤准教授、Zittoun教授、サトウ教授, 200px,,caption fr lb)
 またこの日のセミナーには、立命館大学訪問教授として大学院授業のために来日していたスイス・ヌーシャテル大学のTania Zittoun教授が、サトウタツヤ教授(文学部)と共に飛び入り参加され、”Development in the lifecourse: imagining one’s life”と題して研究報告をするなど、発達心理学の分野で気鋭の研究者が初めて本学において研究交流をする貴重な場にもなりました。学部生、大学院生、専門研究員など、多くの若手研究者も参加し、活発な討議を行いました。
 さらに、この日はちょうどハロウィン!ということで、研究交流会は院生たちも華やかな衣装で、交流を盛り上げました。

第2回 「ソーシャル・キャピタルと健康―近年の研究動向と課題」

報告をする藤澤准教授

 第2回目(11月8日)は、人間科学研究所所長の松田亮三教授(産業社会学部)が、静岡県立大学 経営情報学部/静岡県立大学大学院 イノベーション研究科の藤澤由和准教授をお招きして開催されました。
 藤澤准教授は、ソーシャル・キャピタル、サービス評価、データ構築法等をテーマに活発な研究を行われている気鋭の研究者で、「ソーシャル・キャピタルと健康―近年の研究動向と課題」と題した報告をいただきました。
 ソーシャル・キャピタルは社会関係資本とも訳されていますが、社会における人と人のつながりの程度を意味し、さまざまな分野で議論されています。健康との関係についても、盛んに研究がなされています。
 藤澤准教授の報告は、こうした研究を振り返りつつ、特に「社会地区類型(ジオデモグラフィックス)」を用いて、ソーシャル・キャピタルと健康との関係を探る研究の進展についてご報告いただきました。
 筒井淳也准教授(産業社会学部)からのコメントを皮切りに、参加者の間で、ソーシャル・キャピタルと健康がどのように関係しているかを解明するための方法論を中心に、当初予定していた時間を超えて濃厚な議論が行われました。
 参加者からは、「最先端のトレンドと課題を紹介していただき、大変勉強になった」との声が上がるなど、充実したセミナーとなりました。

第3回 “Welfare Regimes, Policies, Politics and Health: Evidences and Controversies”(「福祉レジーム・政策・政治と健康―根拠と論争―」)

報告をするChung教授

 2013年度最後のセミナーは、12月13日に高麗大学からヘジュ・チュン(Haejoo Chung)准教授を招聘して行われました。チュン教授は、福祉レジームと労働・ジェンダー・健康の複合的な関係について学際的研究を進められている気鋭の研究者です。
 ”Welfare Regimes, Policies, Politics and Health: Evidences and Controversies”(「福祉レジーム・政策・政治と健康―根拠と論争―」)と題したセミナーでは、まず、もはや確立している領域になっている健康の社会要因に関する研究の中で、近年新たに政治体制と健康との関係に関心が高まっていることが指摘されました。その上で、すでに出版されているこのテーマについての論文を振り返り、特に民主制と福祉国家との関わりに多大な関心がよせられていることを指摘されました。そして、福祉国家による失業率と自殺の関連の差異、社会保障給付と死亡率などの、具体的例を示しつつ、近年の研究動向を紹介され、最後にご自身の研究について述べられました。
 報告について、櫻井純理教授(産業社会学部)が、新自由主義の影響が強い中で、労働条件と健康との関連を探究することの重要性を述べられた上で、社会格差の中で労働市場における規制緩和が進められることの影響、産業構造の変更と不安定就労層の増加の影響、労働組合・コミュニティなど社会運動との関係、などに、社会政策上の課題との関わりを中心に問いを投げかけられました。その後、フロアもまじえて、社会政策、社会運動、健康、特に自殺との関わりについて、活発な議論がされました。

今後の開催予定

 今回ご紹介したアドバンスト研究セミナーは、2014年度も継続して開催いたします。開催日程や招聘研究者が決定次第、本HP上でご案内いたします。ご興味をお持ちの方はぜひご参加ください。
 セミナーのご案内は、当研究所のメールマガジンでも配信する予定です。ご興味をお持ちの方はぜひご登録ください。
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