「司法臨床」の実践的研究
代表者: 廣井亮一 (総合心理学部 教授) 研究期間: -
現代家族に生じる深刻な家族問題、それを背景にした少年非行は、臨床的アプローチだけでも、法の適用判断を中心としたアプローチだけでも解決困難であり、その両者によるアプローチが必要です。そのような観点から、非行臨床、家族臨床の実践例をもとに、司法的機能と臨床的機能の両者の交差領域に浮かび上がる問題解決機能によって、少年非行や家族の紛争にアプローチすることを「司法臨床」と定義し、両者を統合した高次のユニットとして「司法臨床」の方法論を構築しました。現在、「司法臨床」の方法をもとに、弁護士、教師、などさまざまな領域の専門家と心理臨床家との協働について実証的に研究をしています。これは、少年法、児童虐待防止法、DV防止法などの法改正を繰り返し、子どもや家族の問題について、法による取り込みを拡大している法化社会(Legalized Society)における心理臨床のあり方を示すものでもあります。
参加研究者
- 廣井亮一 (総合心理学部)
実績等
著書(2007年以降)
- 『法と心理学』(共著)法律文化社 2013
- 『家族療法テキストブック』(共著)金剛出版 2013
- 『加害者臨床』(廣井編著)日本評論社 2012
- 『司法臨床入門・増補改訂第2版』(単著) 日本評論社 2012
- 『カウンセラーのための法と臨床)』(単著) 金子書房 2012
- 『非行臨床の新潮流』(廣井共編著)金剛出版2011
- 『子どもと家族の法と臨床』(廣井共編著)金剛出版2010
- 『非行少年を知るための基礎知識』(共著)明石書店 2008
- 『加害者臨床』現代のエスプリ491号(廣井編著)至文堂 2008
- 『司法臨床の方法』(単著)金剛出版 2007
論文(2007年以降)
- 「学校における法にかかわる問題への対応-法と臨床の協働(短期連載)」 児童心理 2013年10月号(いじめ問題)、2013年11月号(体罰問題)、2013年12月号(暴力問題)、2014年1月号(保護者対応)
- 「司法臨床の概念-わが国の家庭裁判所を踏まえて」(単著)法と心理 11巻1号 2011
- 「法化社会における家族臨床」(単著)家族療法研究28巻2号2011
- 「問題を抱える家族」へのアプローチ(単著)更生保護 61巻7号2010
- 「家族臨床における法的介入」(単著)家族心理学年報28号 2010
- 「Effects of the Failure in the Adaptation to the Foreign Culture on the Mental Health Adolescents」 立命館人間科学 2009
- 「ジャスティス・クライエントへの福祉・臨床的アプローチ」(単著)司法福祉学研究10巻 2011
- 「非行治療に向けてのシステムズ・アプローチ」(単著)精神療法 2008
- 「加害者臨床の問題と課題」(単著)現代のエスプリ 2008
- 「スクールカウンセリングにおける不登校への取り組み」京都女子大学発達教育学部紀要2007
- 「司法臨床の枠組み」(単著)現代のエスプリ 2006
その他
- 薬剤師刺殺事件情状鑑定書 2012
- 看護師老人殺人事件控訴審意見書 2011