新型コロナ感染症と医療福祉政策(日本医療福祉政策学会第4回研究例会 )
新型コロナウイルス感染症は、公衆衛生のみならず、医療体制、社会経済など、非常に大きな影響をもつ出来事になっております。今回の企画では、新型コロナウイルス感染症について、公衆衛生政策、医療政策、福祉政策、さらには経済政策や個人情報など、幅広い領域における影響を概観した上で、報告者それぞれの問題設定をもとにした報告をして議論します。
日時 | 2020年8月8日(土) 13:30~16:30 |
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開催方式 | Zoomを用いたオンライン研究会(ウェビナー) |
報告
趣旨説明 | 松田 亮三 (立命館大学) |
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1. | 新型コロナ感染症にみる日本医療機構のレジリエンス 松田 亮三 (立命館大学) 指定討論: 長友 薫輝 (津市立三重短期大学) |
2. | パンデミックがアメリカの医療労働者に何をもたらしたのか 早川 佐知子 (明治大学) 指定討論: 高山 一夫 (京都橘大学) |
3. | 新型コロナ感染症と政策科学 杉谷 和哉 (京都大学人間・環境学研究科/ 国際高等研究所) 指定討論: 村上 慎司 (金沢大学) |
参加申し込み
8月5日までに、下記のZOOM上のシステムから、ご登録下さい。なお、登録項目はZOOMの基本仕様となっており、メールアドレスが必要ですが、ご了承願います。
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_fd1OUV93Q4GU4qJxtwqlwQ
なお、ZOOMのシステム上限に達した場合には、先着順での受付とさせていただきます。
*本研究例会は、立命館大学人間科学研究所インクルーシブ社会・医療サービスプロジェクトと共催となります。
各報告の概要
報告1 新型コロナ感染症にみる日本医療機構のレジリエンス
松田 亮三 (立命館大学・産業社会学部/人間科学研究所)
2020年の新型コロナ感染症の流行は、公衆衛生機構と医療機構の両方に大きなストレスを負荷している。本報告では、日本における新型コロナ感染症流行の経過をたどりつつ、それが医療機構にもたらした負担と、それに対する対応を、レジリエンス―困難への対応能力―という観点から検討する。その際、(1)施設間協力を必要とするサービス再調整の実施、(2)新たなPCR検査体制の構築などのサービス・イノベーション、という2つの課題に焦点をあてる。
報告2 「パンデミックがアメリカの医療労働者に何をもたらしたのか」
早川 佐知子 (明治大学経営学部)
世界最大の新型コロナウイルス感染者を出したアメリカにおいて、医療労働の現場で生じた問題点を明らかにする。患者が急増した3月から7月にかけて、政府の対応、病院経営者の判断、専門職団体の主張などを踏まえながら、浮かび上がってきた個々の論点を分析したい。これらの論点の多くは、実は平時から見え隠れしていたものであり、パンデミックによって一気に解決を迫られるようになったものであることがポイントだと考える。また、保険制度の差異などを除けば、日本への示唆も導き出すことが可能であろう。
報告3 「新型コロナ感染症と政策科学」
杉谷 和哉(京都大学大学院 人間・環境学研究科/国際高等研究所)
新型コロナ感染症の世界的な蔓延は、政策研究にとっても重い課題を投げかけている。最近、気鋭の政策研究者らによる論文がオンラインで出版され、政策科学の知見からこの問題を考える手がかりを与えている。本報告は、主としてその論文に依拠し、政策研究の立場から、新型コロナ感染症についての論点を整理し、現在提示できる知見を明らかにすることを目的としている。特に、報告者の専門であるEBPM(Evidence-based Policy Making)の観点を中心に、コロナ感染症と政策理論の関係についても考察し、非常事態におけるEBPM、専門家と政策の関係についても問題提起を試みる。