児童期性的虐待被害回復支援プロジェクト

代表者: 松本克美 (法務研究科 教授)   研究期間: 2016/04 - 2017/03

 児童期の性的虐待被害は被害者に心身にわたり長期的で深刻な被害を与え、脳そのものにもダメージを与える可能性があることが近時の研究で判明してきた。ところが、密室で行われる上に、身体に対する暴力的な虐待と異なり、外見上身体に傷や痣が残るわけでない場合も多く、また、とくに家族間や親族間で行われる場合には発覚しにくい特徴がある。このような特徴をもつ児童期の性的虐待被害はそもそもそのような被害・加害をなくすことが第一であるとともに、早期に発見しケアすることが重要である。また、長期間被害を誰にも訴えることができずに成人するケースも非常に多いため、被害を受けてから長期間経過したあとの、被害者の心身の回復支援も重要となる。
 本研究は、約4年にわたるR-GIROの法心理・司法臨床センターにおける「被害者支援グループ」での調査研究及び松本克美を代表者とする科研費・新学術領域「児童期の性的虐待被害者のレジリエンスを支援する時効法改革の提言」(平成26年・27年度)、人間科学研究所・平成27年度萌芽プロジェクト「民事責任における損害論の法心理学的再構築 ― 多様な被害回復のための司法臨床的支援を目指して」(平成27年度)の調査研究をふまえて、この領域で先進的な取組をしている韓国との比較検討を行い、現在、時効法改革を議論中の日本にとっても有益な示唆を得ようとするものである。

参加研究者

  • 松本克美 (法務研究科教授)
  • 吉田容子 (法務研究科客員教授)
  • 金成恩 (立命館グローバル・イノベーション研究機構・専門研究員)

主な研究資金

2016年度人間科学研究所 研究所重点研究プログラム


刊行物

立命館人間科学研究

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