テーマ④ 社会的包摂に向けた修復的支援の研究

代表者: 中村正 (産業社会学部 教授)   研究期間: 2013/04 - 2016/03

修復的支援チーム
 修復的正義・司法を軸にした<学=実>連携をとおして司法と社会の関係の再組成にむかう実践的理論研究とする。
 以下のような個別の研究テーマを想定し、修復的支援という統一的な課題のもとに収斂させて全体の課題であるインクルーシブ社会のための<学=実>連携の構築に資する。具体的なサブテーマは次のようである。

①司法と市民・社会についての情報的正義についての研究
②東日本大震災の法的救済の心理−社会学的検討
③被害者支援におけるリーガルクリニックの役割等をとおした総合的被害者支援の研究
④法と人間科学の見地からPTSDの時効に関する法理の探求
⑤司法臨床・加害者臨床と「治療的司法」の研究(少年、累犯障害者、性犯罪者、家庭内暴力加害者等、触法行為の主体の違いによる更生とリハビリテーションの理論構築と実践共同体の創造)や社会復帰のあり方の研究
⑥心理学鑑定の技術と法理を開発し、修復的正義・司法に活かす研究を行い、多様なニーズを解析する法心理鑑定の理論研究

2014年度の活動報告

 「修復的支援」チームでは「修復」という考え方の諸相として各サブテーマの研究を位置づけ、公開企画や研究発表を多く行った。学=実連携の情報発信である。5月は国際サイコセラピー学会(上海市)で震災と回復にかかわるテーマで発表した。7月に国際シンポジウム「取調べと可視化―新しい時代の取調べ技法・記録化と人間科学―」を開催した(その記録は『インクルーシブ社会研究』第7号としてまとめた)。8月にユースワーカー養成公開研究会「ユース・スタディーズ(若者学)構築に向けて」、11月には「家族のかたちシンポジウム―里親制度・生殖医療/多様な家族を形成するための関係機関との連携と協働に向けて」を開催した。また、R-GIRO「文理融合による法心理・司法臨床研究拠点」と連携して定期的に開催した法心理・司法臨床セミナーへは若手研究者の参加・報告を奨励した。

2013年度の活動報告

 修復的正義・司法を軸にした<学=実>連携をとおして司法と社会の関係の再組成にむかう実践的理論研究が課題である。共通テーマであるソーシャルインクルージョンやインクルーシブ社会の構築にかかわり修復的支援と実践の諸相を明らかにしつつ、修復という概念のもつ社会構成にとっての意義を明確にするという統一的な課題へと各論を収斂させていく端緒を拓くことが初年度の目標であった。具体的なサブテーマの追求をとおして「修復」という考え方の諸相が明示できた。たとえば、①情報的正義による社会的課題の明確化、②東日本大震災の法的救済の心理−社会学的検討、③被害者支援における大学らしいワンストップサービスの内容としての支援者支援のシステム構築の予備的研究、④法と人間科学の見地からPTSDの時効に関する法理の探求、⑤司法臨床・加害者臨床と「治療的司法」の研究、⑥社会復帰のあり方の研究、⑦心理学鑑定の技術と法理を開発などである。

参加研究者

  • 中村正 (産業社会学部 教授)
  • 篠田博之 (情報理工学部 教授)
  • 松本克美 (法務研究科 教授)
  • 稲葉光行 (政策科学部 教授)
  • 廣井亮一 (文学部 教授)
  • 村本邦子 (応用人間科学研究科 教授)
  • 斎藤真緒 (産業社会学部 准教授)
  • 野田正人 (産業社会学部 教授)
  • 安田裕子 (立命館文学部 准教授)
  • 徳永留美 (立命館グローバル・イノベーション研究機構 専門研究員)
  • 木戸彩恵 (立命館グローバル・イノベーション研究機構 専門研究員)
  • 金成恩 (立命館グローバル・イノベーション研究機構 専門研究員)

実績等


刊行物

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