(病的)利他性に関する発達的検討((病的)利他性発達プロジェクト)

代表者: 小國龍治   研究期間: 2023/4 -

我々ヒトは他者から良い評判を得るために利他行動を行う (Wu et al., 2016)。成人期における利他行動の生起頻度の高さは他者から承認を得ることへの欲求の強さと関連するのに対して、他者からの拒絶を回避することへの欲求の強さとは関連しない (Kawamura & Kusumi, 2018)。一方、青年期の若者は他者からの評判に対する感受性が極めて高く、仲間からの承認を得るためだけでなく、排除されることを回避するために飲酒・喫煙・薬物使用などの法的なリスクや健康上のリスクを冒しやすい (Tomova et al., 2021)。したがって、利他性と評判懸念の関係は発達段階により異なる可能性がある。そこで、本研究ではオンライン調査会社に登録している青年及び成人に対して質問紙調査を実施し、利他性と評判懸念の関係性が発達段階により異なるか検討する。また、ここでは近年関心が高まっている利他性のダークサイド (病的利他性: Oakley, 2013) にも着目する1。(病的) 利他性と評判懸念の関連を発達的視点から検討することは、生物学的・心理的・社会的変化が著しい青年期の性質を理解し、その後の発達を予測するための新たな知見を提供する。またそれは青年期における法的なリスクや健康上のリスクを低減するための支援方法の提案にも繋げることができる。したがって、本研究計画は基礎と応用の両研究としての価値を有しており、発達的視点から「法と心理」に関する知見を提供できる。

参加研究者

  • 小國龍治 (総合心理学部・特任助教)
  • 下司忠大 (立正大学 心理学部・講師)
  • 萩原千晶 (早稲田大学 文学学術院 文化構想学部・助手)

主な研究資金

2023年度 人間科学研究所 萌芽的プロジェクト研究助成プログラム


刊行物

立命館人間科学研究

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