運動行動の増進とポジティブ感情との相互作用についての研究

代表者: 村上 嵩至   研究期間: 2022/4 -

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近年,我が国では健康経営や働き方改革などによって健康的な行動を促す取り組みが進められているにもかかわらず,全体的な健康行動の増進は確認されていない。健康行動を開始する,ひいてはそれを維持することの難しさについて,行動分析学的観点からはその行動の即時的な結果が得られないことが原因のひとつとして挙げられるが,それ以外の問題についても別の観点から考える必要がある。
われわれは一般に,楽しいことを行ないたがり,楽しくないことは行ないたがらない。そして何が楽しいかは,人によって或いは時と場合によって異なるように,一様ではない。もっと限定的にいえば,それに対して興味を持てば楽しいことに気づくようになり,逆に興味がなければそれに気づかないこともある。そこで本研究では,このように特定の行動の増進に関係する心理的要因のひとつとして,感情に注目する。
 感情には,抑鬱や不安といったネガティブな感情と,幸福感や喜びといったポジティブな感情とに大別できる。ネガティブ感情は,その生体を取り巻く環境内に何らかの問題があるときに喚起され,生体はその問題に対して注意を向けて,それを解消すべく特定の行動をとるように駆り立てられる。このように,ネガティブ感情には何らかの問題に対して注意や行動の範囲を狭める役割をもつ一方で,ポジティブ感情にはむしろそれらの範囲を広げる役割をもつ(Fredrickson, 2013)。ポジティブ感情は,解消すべき問題を伴わずに生起するため,特定のものに対する注意や行動が促されるというよりも,さまざまな行動の中から新奇な物事への「遊び」や「探検」を選択する傾向が強められる。つまり,ネガティブ感情と比較して,ポジティブ感情には,新奇の物事に対するわれわれの関心を高める効果があるといえよう。したがって本研究では,ポジティブ感情が行動,とりわけ運動という健康行動に対する興味や関心を高める効果をもつか,そして実際に,運動行動の増進に影響を及ぼすかについて検討する。

参加研究者

  • 村上 嵩至(立命館グローバル・イノベーション研究機構専門研究員)
  • 古野 公紀(総合心理学部・特任助教)

主な研究資金

2022年度 人間科学研究所 萌芽的プロジェクト研究助成プログラム


刊行物

立命館人間科学研究

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