TFT実証研究プロジェクト

代表者: 岡本直子 (総合心理学部 教授)   研究期間: 2019/04 -

 本プロジェクトでは、心理療法の一技法である思考場療法(Callahan, R)の有効性を検証することを目指す。
TFT(Thought Field Therapy:思考場療法)とは、米国の認知療法、論理療法のパイオニアの1人であったCallahan, R.が1970年代後半に開発した心理療法の技法である。TFTでは、クライエントが自らの問題について考え、思考が問題に集中している状態でクライエント自身が経絡上のツボを所定の手順でタッピングすることで、問題や症状の解消や緩和を行う。手順がシンプルで即効性があり、他の療法と併用可能であること、そして、セルフケアとしても有効であることが特徴である。ルワンダの大量虐殺や佐世保の銃乱射事件、東日本大震災など、トラウマ的事象にさらされた人々への支援などで、効果と即効性を兼ね備えたTFTは年々注目がなされてきている。
我が国では、2014年に援助職に就く専門家向けのTFTセミナー参加が臨床心理士資格更新ポイントとして認められた。また、TFTは本年、エビデンスのある治療法として米国政府のエビデンス登録機関(SAMHSA)に登録された。その一方で、わが国における思考場療法の研究のほとんどがSUD*(Subjective Units of Distress:苦痛の主観的単位、以下SUD*と記述)という心理指標に基づいた研究であること(與久田,2015)から、実証の積み上げの必要性が否めない(與久田・岡本,2016)。
そこで、本プロジェクトでは、思考場療法の有効性を、心理的指標と生理的指標の2側面から検証する。心理的指標としては、Wolpe, J.が提唱したSubjective Units of Distress; SUD(苦痛の主観的単位)を用い、実験協力者が感じる苦痛の程度の主観的な報告を得る。生理的指標としてはNIRS脳計測装置を用いて実験協力者の脳血流量を測定する。思考場療法実施前後におけるこれら指標の変化を調べる。これによって、TFTに効果があるのか、あるのならばどのような作用機序が関係しているのかを解明する。

参加研究者

  • 岡本直子 (総合心理学部 教授)
  • 與久田巌 (大阪夕陽丘学園短期大学 教授/OIC総合研究機構 客員研究員)

主な研究資金

2019年度 人間科学研究所 重点研究プログラム


刊行物

立命館人間科学研究

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