ディサビリティチーム



 援助者と被援助者の関係には認知心理学的側面と社会心理学的側面が含まれている。すなわち、援助を提供する者と受ける者との間にはそれぞれの課題や共同の作業が存在し、それらは認知・注意・記憶・問題解決といった認知心理学的問題としてとらえることができる。また、援助者と被援助者の2者関係は、援助行動・共感・自尊心といった社会心理学的テーマを含んでいる。
 認知心理学では人間の多様な能力を研究対象としてきた。そのような研究は、援助者と被援助者との間に存在する約束、目標、学習、伝承など達成すべき課題について示唆を提供するであろう。社会心理学では、他者やグループの存在が個人の態度や感情に及ぼす影響を検討している。このような問題に関する研究は援助者と被援助者との関係に関する客観的観点を提供するであろう。
 このプロジェクトでは認知心理学的研究および社会心理学的研究に広く題材を求めて進行している。認知心理学班では、これまで展望的記憶、順序の記憶、短期記憶における音韻情報などについて検討してきた。社会心理学班では、援助行動、共感の種類、自尊心などについて検討を行った。2009年度については、これまでの研究を継続するとともに、これまでの研究成果を取りまとめ、援助にかかわる人間に関する総合的理解を深めていきたい。