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学術フロンティア推進事業からオープンリサーチセンター整備事業へ

 オープンリサーチセンター整備事業「臨床人間科学の構築-対人援助のための人間環境研究」は、2005年度に文部科学省による採択を受け、向こう5年間、人間ひとりひとりの潜勢力(ポテンシャル)を最大化するための「対人援助学」の創造をめざすプロジェクトです。
 そして、このプロジェクトの運営組織を「ヒューマンサービス・リサーチセンター(HSRC)」と名づけ、立命館大学人間科学研究所内に設けることとなりました。これをメインエンジンとして、立命館大学を人的・物理的・情報的な地域資源と位置づけ、当事者組織、援助サービス提供者、援助専門職者の有機的連携を展開し人材養成と教育の新しい仕組みを構築していきます。
 この事業は、2004年度まで行われてきた学術フロンティア推進事業「対人援助のための人間環境デザイン」を発展的に踏襲するものです。学術フロンティア事業では、社会環境とコミュニケーションの障害性を縮減するという統一した視点から、具体的で直接的援助場面における事例研究を重ねつつ、教育や福祉などの現場における臨床への応用、そして環境の再構造化へと、対人援助の作業を一つのスペクトラムの中に位置づけて研究・実践が行われました。5年間の間に166編の論文、65編の著書が生み出され、従来の学範(ディシプリン)の範疇を超えた、「対人援助」という新たな枠組みを模索する論文や著作も数多く産出されました。また、援助を必要とする、障害者、こども、高齢者のための地域援助システムを新たに構築する実践的作業や、より大きな政策提言や制度構築といった援護的(アドボカティブ)作業も行われ、その結果として地域に定着したサービスの実現や援助政策の具体化など、実質的な社会的還元を行うに至っています。また、この事業でのユニークな情報的社会還元の作業として、専用サイト「ヒューマンサービス・プラットフォーム」(Human Service Platform)の運営が行われ、研究プロジェクトの内容と成果を遅滞なく社会に公開すると同時に、サイトを用いた独自の対人援助資源の作成や、実用的研究データベースによる実践者への支援を行ってきました。

ヒューマンサービス・リサーチセンター(HSRC)開設

 さて、新しい「ヒューマンサービス・リサーチセンター」(HSRC)では、上記したような研究的・実践的な知の蓄積、またそこで生まれた人的ネットワークの上に、対人援助についての実践と研究のさらなる質的な発展を図ろうとしております。その方向性としては、オープンという名にふさわしく、海外の研究者や組織との連携、さらに大学院・学部教学との有機的連携、地域資源としての大学の新しい機能の追求を挙げることができます。
 海外との連携に関しては、アジア諸国との連携や情報交換も積極的にすすめ、共同研究や国際的な実践を展開していく予定です。手始めとして、対人援助(Human Services)の研究と実践のあり方に関する現状や当プロジェクトへの提言を、国内外の研究者や実践者から募りこれを公開するFive at the Cornerをサイト内に立ち上げ専用サイトに連載の形で公開しております(これは、立命館大学の「2005年新領域創造センター新拠点プログラム」の援助による)。大学院・学部の教育との有機的連携としては、単に学生が対人援助現場においてこれを補佐し現場を知るといった従来のインターンシップ的な関係にとどまらず、より積極的に、学生(あるいは大学)がゆえに可能な対人援助のあり方を発見的な形で学生教育の中に取り込んでいくという実践的(実験的)態度で臨みたいと考えております。このようにして、地域資源としての大学のあり方を改めで検討し、さらにそれを通じて新たなディシプリンとしての「対人援助学」を構築するという筋道がみえてきます。
 HSRCのプロジェクトについては、現在、このサイトにあるような形で進行中ですが、新たなプロジェクトの提案については常に受け付けております。どうぞご意見とともにご提案いただくようお願いします。