えっせい

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再会に寄せて

筆者: 大谷いづみ 執筆: 2007年

産業社会学部 大谷いづみ教授
 最近、なぜだか東京で高校教師をしていた時代の教え子たちと再会するできごとがにわかに続いている。立命館に着任して1ヶ月ほどたったころ、はじめて担任したクラスの教え子から突然事務室に連絡が入り驚くと、ネットで着任を知ったとのこと。自分たちも40歳になるからそのひと区切りにと十数年ぶりに開くクラス会に招いてくれた。18歳の彼らと別れたころは私も20代。今はさほど歳も変わらない(というのはややサバ読み過ぎか)。
 一昨年は次に赴任した学校の卆後10周年の学年合同同窓会が開催され、400人弱の同期生の3分の一が一同に会した。この世代はロスト・ジェネレーションにあたっていて、大学卒業と就職難がもろにぶつかった世代である。いろいろあったであろうに、胸中いろいろあるであろうに、それが同窓会という「ハレ」の日にみせる華やぎや装いであるにせよ、厳しい時代にあって、その厳しさ辛さをみじんもみせず再会を喜んで語らいあう姿は、ひどくまぶしい。教え子たちの中には、医療や看護、福祉や教育など、生命倫理学の研究と教育にあたる現在の私と重なり合う分野でキャリアを積む者もいて、それがまたうれしい。彼/女らとともにはたらく機会は、あながち夢でもないだろう。
 10年とか20年を経た後のさまざまに成長した姿をみると、人がもがきながら躓きながらも自分の力でみごとに育っていくこと、教師のできることなどわずかなことでしかないことに、つくづく思いいたる。むろん、それがわずかであることと意義あることとは矛盾しない。
 さて、立命館で研究教育に当たる2年目がはじまる。ここではどんな出会いとつながりが築けるだろうか。


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