えっせい

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人間研と私の5年間

筆者: 斎藤真緒 執筆: 2006年

 私と人間科学研究所とのおつきあいが始まったのは5年前。それまでほとんど面識のなかった中村正先生に運命的に(?)出会ったのがきっかけで、昨年度までの3年間は、「ポスト・ドクトラルフェロー」として人間研にかかわらせてもらいました(そういえば、初対面の人には、「この、舌をかみそうな肩書きはなんですか?」とよく聞かれました)。衣笠キャンパス内で一番景観に恵まれた創思館2Fのコアプロジェクト室に自分のスペースをもらって、院生時代よりものびのびと楽しく仕事をさせて頂いたのは、人間研スタッフである先生方ならびに職員の方々のおかげです。そして、現場で実践しているいろんな方々と出会えたことは、「学会」を主要なテリトリーとするような従来型の研究にはない、刺激と感動に充ち満ちていました。所長を筆頭に、別名<出会い系>研究所の魅力は、私にとっては絶大です。
 とはいえ、今年度は、所属が人間研から産業社会学部に変わり、仕事量はもちろんのこと、日常生活までが一変。コアプロジェクト室で、太陽の日差しをあびながら、ぬくぬくと研究していた  「スロー」なライフスタイルが奪われてしまいました。もともと「健康フェチ」で、新鮮な野菜を冷蔵庫にストックしておくことに密かな喜びを見いだしていたのですが(これは「プチ買い物依存」と共鳴してるんですが・・・)、スーパーに行く時間すらなかなか見つけられなくなりました。ちょっと「脱線」すると、買い物で一番気にするようになったのは、バーゲンであまり「ガツガツ」しないこと。大講義もいくつか担当するようになったので、自分は知らなくても相手は自分の顔を知っているかもしれないという人間関係が増えました。今までは嬉々として堂々とバーゲンを楽しんでいたのですが、それもままならなくなりました。
 前回のリレーエッセイの松原先生の表現を拝借すれば、私にとっての「逃避」手段の一つは、 「映画」です(松原先生、私も「のだめカンタービレ」の一ファンです!!)。どうしても観たくて、先日、東京出張の際に、渋谷にある日本一小さな映画館UPLINKで、「ザ・コーポレーション」というドキュメンタリー映画を観ました。企業という「組織」が、人間を飲み込んでいく今のグローバルな資本主義社会。これは大学組織にもあてはまるということを日々痛感していますが、オルタナティヴな組織や科学を目指して、人間研はあくまでも「ゆる系」で行きましょうね。


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