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雪の値段、その1(問題編)

筆者: 徳田完二 執筆: 2005年

 十数年札幌で暮らしていた。
 札幌の冬は寒い。雪がたくさん降る。人々は一年のうち少なくとも四ヶ月を雪の中で暮す。
 札幌には地下鉄がある。もちろんバスもある。が、どちらもわりと空いている。多くの人が車(マイカー)を使うので、公共交通機関の利用率が低いのである。通勤であれ買い物であれ、車がよく使われる。広い北海道はその広さをカバーするだけの公共交通網を作ることができない。だから、車がなければとても暮らしにくい。公共交通機関を乗り継ぐよりも車を使う方が目的地に早く着けることがしばしばで、車なら三十分ほどで行けるのに、電車やバスで行くと一時間半もかかったりする。
 雪がたくさん降る冬になると、札幌の道は凍結する。それでも人々は車を使う。冬の道には雪が何十センチも積もっているのだろうか? 決してそんなことはない。主要道路は除雪が行きとどいていて、アスファルトが露出していることさえ珍しくない。雪が降ると、ブルドーザなどの土木作業車が出動し、朝の通勤時間には車が走れるように、深夜の除雪作業に精を出すからである。もちろん除雪は深夜だけに行われているのではない。必要に応じて日中でも行われるので、冬の間中、そこかしこで除雪車を見かける。ただ、深夜は交通量が少なくて除雪作業を行いやすく、夜のうちに幹線道路の除雪を済ませて朝の通勤時間帯に間に合わせるのが市民生活にとって好都合である、などの理由で、深夜に除雪作業が行われることが多い。明け方近く、夢うつつにブルドーザの音を聞くことがよくあるし、朝起きてみると、家の前の道が除雪されているのがふつうである。
ところで、札幌市の管理下にある市道は、当然、札幌市が除雪費を負担している。そこで問題である-
【問題】札幌一円に雪が降って、札幌市道をくまなく除雪すると、一晩の除雪費はおよそいくらになると思うか、次の選択肢の中から選びなさい。
   ①五百万円  ②一千万円  ③五千万円  ④一億円
 この金額はいわば「雪の値段」である。一晩の間に札幌市道全域にくまなく降りつもる雪の値段は、いくらだと思われるだろうか?
 答えは、次の「雪の値段、その2(回答編)」で発表することにしたい。


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