人間科学研究所では,ヒューマンサービス分野で地域にひらかれた研究を展開してきました。文部科学省私立大学学術研究高度化推進事業学術フロンティア推進事業「対人援助のための人間環境デザイン」プロジェクト、オープン・リサーチ・センター整備事業「臨床人間科学の構築」プロジェクトなどの事業を通じ、高齢者、障害者(児)、(男性)介護者、外国人、といった人たちのウェルビーイングを向上させるための基礎的・実践的研究を、地域に開かれた手法で実施してきました。
 今回のプロジェクトの目的は、これまでの研究実績を踏まえ、「大学」という研究資源をもつ有機的な場を、機能的な地域資源あるいは継続的なシミュレーションの場として構造的に活用し、地域で様々な問題を抱えながらも相互に関係し合う人間生活のあり方について、実証的に検討することにあります。
 高齢者ウェルビーイング・自閉症児サークル・学生ジョブコーチ・男性介護者・加害者支援・バリアフリーなど、これまでの個別研究プロジェクトの研究の高度化をはかるとともに、様々な人々が相互に出会い社会的役割を担うことのできる地域を創造する上で、物理的・社会的・情報的にどのような設定や支援が最も有効かを組織的・系統的に検討します。そこでは、継続的な支援に不可欠な情報移行や事例アーカイブなどの個人情報保護を前提にしながらもどのように蓄積していけるかといった課題にも応えることのできる方法論の開発も含みます。
 このように、立命館大学のこれまでの地域連携の伝統と臨床人間科学的な研究の蓄積のうえに、新しい地域貢献を追及し、大学というものの新しいありかたについて広く社会に呈示していこうとするものです。

大学を模擬社会空間とした自立支援のための持続的対人援助モデル構築プロジェクト