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第6回CEHSOC定例研究会

「国民健康保険制度の現状にみる格差社会」

長友薫輝氏
(津市立三重短期大学助教授)


2006年8月11日(於キャンパスプラザ 京都第4演習室)

2006年8月11日にCEHSOC定例研究会の第6回目が開催されました。報告者は津市立三重短期大学の長友薫輝先生です。国民健康保険制度の現状と、そこから見えてくる格差問題や医療制度のあり方について報告していただきました。

第1回CEHSOC定例研究会

 

参加レポート

国民健康保険制度の現状について、国保加入者の格差の現状や医療制度改革に関する議論を踏まえてご報告いただきました。

1961年に「国民皆医療保険」の体制が整備されて以来、国民健康保険制度はこの体制を支えるセーフティーネットの役割を果たしてきましたが、近年この「国民皆医療保険」の「空洞化」が問題視されています。「空洞化」の原因に国保料滞納の増加が挙げられますが、この背景には、国保料の保険料率設定が高率設定であること、また算出方法の変更によって低所得層への負担が増加したことなど、国保加入者の実態にそぐわない制度運営が指摘されています。また、滞納が長引くと「資格証明書」が交付されますが、これは実際には無保険状態と同様であり、「皆保険」の趣旨に反するものです。

また、近年の医療制度改革による患者負担増は、間接的に国保料滞納者を増加させる危険性が指摘されています。また、保険者の広域化や後期高齢者医療制度の創設に関する議論、また生活保護制度の改革案は、国保制度の今後に大きな影響と変化をもたらすものです。

これらに対して、国保加入者の実態に応じた制度改革、また「国民皆保険を堅持」しながらより良い医療制度に向けた改革、そしてそのための議論を積み重ねることが重要であるとご指摘されました。報告後は、会場から多くのご質問・ご意見があり、改めて国保や医療制度改革に対する関心の高さと議論の場の必要性を感じました。

(文責:立命館大学人間科学研究所 棟居徳子)

過去の定例研究会

 

   

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