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研究会などの催し
 
 

シンポジウム

「男性介護から考えるこれからの介護社会」

浅川澄一氏(日本経済新聞社編集局)
荒川不二夫氏(荒川区男性介護者の会)
阿部未知氏(東九条訪問看護ステーション所長)
富田秀信氏(介護当事者)


2006年2月18日(於立命館大学創思館カンファレンスルーム)

2006年2月18日に「男性介護者問題研究会」主催による男性介護をテーマとしたシンポジウムが開催されました。いま、家庭内で男性の介護者が増えています。これまでの介護問題とは異なる新たな課題がそこには含まれています。男性介護者に焦点を定め、その背景と現状、そして今後の課題について、各報告者により報告及び討論をしていただきました。

参加レポート
男性介護者問題研究会では、「男性介護に関わるエンパワメント・プログラムの開発研究」に取り組んでおり、今回は、基調講演に介護や福祉の取材を一貫して続けてきた日本経済新聞社編集委員浅川澄一氏をお迎えした。また、パネルディスカッションでは、コーディネーターの津止正敏教授のほか、介護当事者として富田秀信氏、男性介護のセルフヘルプ活動をしている荒川不二夫氏、支援者としてケアマネジャーの阿部未知氏をお迎えした。

浅川氏は、ジャーナリストとしてみた家庭内や職業としての男性介護者の実態、その際の課題や可能性について述べるとともに、「介護は極めて日常的なものであり、当事者が望む介護をしていくことが大切である。男性介護者の増加によって当事者の自由選択が広まればよい」と語った。

富田氏は、仕事をしながら行った介護経験から、「男がタテ社会(職場)からヨコ社会へ参画することが必要である」と語った。荒川氏は、男性介護者の会立ち上げのきっかけや活動内容について述べるとともに、男性介護の固有の困難性について触れ、「男には男同士でしか話せない介護の悩みがある。男が悩みを話し合い支えあえる男性介護者の会を京都にも作ってほしい」と語った。安部氏は、訪問介護の現場でのさまざまな事例を提示しながら、男性介護者の現状を語った。また、その中で、高齢で妻を介護している井水さんを紹介し、井水さんは、老々介護の実態を語るとともに、「日々介護のつらさや難しさを感じ、心身ともに疲れ果てている。気持ちにゆとりがもてるような介護をしたいができない状況にある」と訴えた。

討議ではパネリストのほか、医療生協関係者や現役ヘルパーの方からの発言があった。ヘルパーの方からは、「家庭内での男性介護者の苦労や問題は、生活経験のなさによるものであり、サービスが足りないことも関係している」との意見があった。また、ヘルパーとしての男性介護者の問題も指摘した。

津止教授は討議のまとめにあたって、男性介護に着目することによって、さまざまな問題が普遍化されていくことがわかる。今後予定している全国調査によって、男性介護者にあらわれる特徴的な問題や介護全般の問題を把握し、社会的支援のしくみや政策提言をおこない、これからの介護社会についてさらに考えていきたいと述べた。

(文責:立命館大学大学院社会学研究科 秋田範子)

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