平和をめぐるナラティブの結節点としてのミュージアムの可能性(平和をめぐるナラティブ・ミュージアム)
代表者: 川野健治 (総合心理学部 教授) 研究期間: 2024/4 -
背景
平和について語ることは、戦争や災害を対置するため、時に困難となる。これにはお互いを慮る配慮、被害の格差、加害と被害のポジショナリティ、あるいは集合的なトラウマといった様々な心理学的要因が絡み合うが、博物館学への心理学からの貢献はいまだ乏しく、萌芽的な研究課題である。
目的
それを越えて前進するために、安心して語れる場、また複数の語りを許容する場としてのミュージアムの可能性を検討することを目的とする。ミュージアムの学芸員、来場者、さらには平和ミュージアムを近傍に抱える人々は、どのように語り、共有しうるのか。あるいはミュージアムはそれらを集合的に編むことができるのだろうか。
計画
本研究では、立命館大学平和ミュージアムを事例として、インタビュー、アンケート、資料収集といった方法によって上記の人々の語りを集め、分析する。
期待される成果
ミュージアムにおける、語りの集合的なあり方の可能性を明らかにする。
今後の展開
この事例研究で実施可能性を確定した上で、視野を世界に広げ、各地のミュージアムの展開を比較して我々の社会課題を明確にするとともに、学術的には、あらたなナラティブ論の提案としたい。
参加研究者
- 川野健治 (総合心理学部・教授)
- 村本邦子 (人間科学研究科・教授)
- 野田実希 (総合心理学部・准教授)
- 河野暁子 (立命館大学大学院人間科学研究科・博士課程後期課程)
- 浜崎爽子 (立命館大学大学院人間科学研究科・博士課程前期課程)
- 橋本光理 (立命館大学大学院人間科学研究科・博士課程前期課程)
- 中山佐代 (立命館大学大学院人間科学研究科・博士課程前期課程)
- 高田すず (立命館大学大学院人間科学研究科・博士課程前期課程)
- Eugen Kou (精神科医、セント・ヴィンセント病院シニア・コンサルタント)
主な研究資金
2024年度 人間科学研究所 萌芽的プロジェクト研究助成プログラム