第5回CEHSOC定例研究会
「組合員・利用者の医療・介護への参加〜医療生協さいたまの現状と課題〜」
斉藤民紀氏
(医療生協さいたま専務理事)
2006年7月7日(於立命館大学衣笠キャンパス 創思館4F 407号)
2006年7月7日にCEHSOC定例研究会の第5回目が開催されました。報告者は医療生協さいたまの斉藤民紀さんです。消費生活協同組合として医療事業を営んでいる「医療生協さいたま」における、組合員・利用者の医療や介護への参加がどのように行われているか、そしてどのような課題を抱えているのか、について報告していただきました。

参加レポート
消費生活協同組合として医療事業を営んでいる「医療生協さいたま」における、組合員・利用者の参加がどのように行われているか、そしてどのような課題を抱えているのかについて報告が行われた。
医療生協への組合員の参加は、出資参加、利用参加(狭義の医療参加)、運営参加に加え、自主的参加、学習活動の5つの参加形態がある。出資参加では、出資金が直接自己資本として関連施設や設備等に結びつき、経済的参加としての関わりを持つ。出資金を出すことは組合員の参加意欲と結びついている。利用参加は、患者としての医療機関としての利用を支える活動という側面を持ち、「患者の権利章典」を定めて様々な活動を組織している。例えば入院の時には、「症状についての私の考え」や「終末期要望書」といった病名の告知等に関する要望を患者が示す手続きを準備し、本人の意思を最大限尊重するよう努力が行われている。また、「虹の箱」と呼ばれる職員に対する意見と要望を集約する箱を設置し、毎日点検することによって患者等の意見を汲み取り、常に改善やニーズに応えられるようにしている。
最後に、医療生協さいたまにおける「参加をめぐる自己課題」として、「権利意識の強い」患者と共に医療をつくりあげる方策、医師・患者間の信頼関係の構築、患者の強い想いにより苦悩する医師に対するケア、が提示された。また、質疑応答ではこの課題もふまえ、組織運営の在り方や世代交代(若者の参加)などについて、議論が交わされた。
今回の研究会を通じ、「医療生協さいたま」では組合員20万人を抱える大きな組織が故に成り立つ医療事業であることを実感した。また我々が通常利用する医療機関とは異なり、一歩踏込んだより利用者のニーズにあった医療が実現されているように思われる。
(文責:立命館大学大学院社会学研究科 新山智基)
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