えっせい

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「馴化」の功罪

筆者: 服部雅史 執筆: 2004年

早いもので,学外研究のためにイギリス(ウェールズ)のカーディフという街に来てから6ヶ月近くが経過した.
外国では,しばしばわからないことやおかしなことに遭遇する.初めての国ならもちろんであるが,そうでなくても,旅行での滞在と生活するのとではだいぶ様子が違ってくる.思えば,生活を始めた頃はわからないことばかりであった.
しかし,いちいち追求しても疲れるし,フラストレーションもたまるので,いずれわかるだろうくらいに思って適当に放っておくのがよい.大半は時間とともに解 消されていくものである.しかし同時に,当初何が問題になっていたのかということも,時間とともに記憶から消えていってしまう!
気の利いたエッセイを書く人は,そういった小さな「事件」を見逃さない才能を持っているのだろう.その点,私などは,そもそも記憶力が極めて悪いし,忘れないでおこうという努力もしない.だから,ある日突然エッセイを書けと言われると,はたと困ってしまうのである.
こういう人間には,ときどき脱馴化(!?) が必要なのだろうか.


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