「心の防災」プロジェクト

代表者: 村本邦子 (人間科学研究科 教授)   研究期間: 2015/04 - 2016/03

お知らせ

プロジェクト名称について

 本研究に関わり、展示企画など一般公開企画を行う際は、『ココロかさなるプロジェクト』と称して活動することがあります。

プロジェクト概要

 本プロジェクトは、団士郎(応用人間科学研究科教授)の家族漫画展を中核装置として、アクションリサーチによる「こころの防災」の理論化を試みるものである。

 2011年の東日本大震災を受け、立命館大学大学院応用人間科学研究科では、家族漫画展を中核に、十年にわたって東北4県を巡回する「東日本・家族応援プロジエクト」を実施中であり、これを京都はじめ被災地以外にも紹介するとともに、同漫画を冊子にして手から手へと拡げていく「ホンブロック」による「届ける!プロジェクト」とも連動させながら展開してきた。本プロジェクトにおいては、これらの活動のこれまでの実績を活用し、またリアルタイムで連動しつつ実施する。

 個別的でありながら普遍性を含む漫画のエピソードは、見る者ひとりひとりに過去の小さな物語を想起させ、誘発された無数の物語記憶は重なり合い、つながりの再確認とともに共同意識が構築される。このような取り組みによって、被災地か非被災地かという境界を超え、「小さな関係の結び直し」がネットワークしながら層を重ねて拡がり、大小問わず災難は誰の身にも降りかかるものであるが、人は助け合って逞しくしなやかに生きていけるという安心と希望につながっているようでもある。
 災害が起こってからの「心のケア」でなく、来るべき災害に備える「心の防災」は喫緊の課題となっているが、現在はストレスマネジメントやトラウマの心理教育が指摘されている程度である。本プロジェクトは、危機管理に焦点を当てた防災理論とは別に、より積極的に、危機においても発揮できる力(レジリエンス)を強化する防災を考えている。身近な人との関係を結びなおすと同時に、それまで無関係だったかもしれないが、 何かを縁として、つながり合える匿名の他者との関係に気づくことがいざという時の力になる。
 このたびJR西日本あんしん社会財団平成27年度公募助成(助成番号15R025「家族漫画を中核装置としたアクションリサーチによる「心の防災」の理論化の試み」)を受け、これをアクションリサーチとして実施し、その有効性とともに、どのようなコミュニケーションがどのような機能をもたらし得るかを明らかにすることで、「心の防災」についての提言を行う。

参加研究者

  • 村本邦子 (応用人間科学研究科 教授)
  • 団士郎 (応用人間科学研究科 教授)
  • 中村正 (産業社会学部 教授)

主な研究資金

JR西日本あんしん社会財団平成27年度公募助成(助成番号15R025「家族漫画を中核装置としたアクションリサーチによる「心の防災」の理論化の試み」) 2,000,000


刊行物

立命館人間科学研究

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