テーマ⑤ 社会的包摂と支援に関する基礎的研究

代表者: 小泉義之   研究期間: 2013/04 - 2016/03

基礎研究チーム
 近年、医療・福祉・臨床・教育・労働・経済などの分野で、社会的な包摂と排除についてさまざまな議論が進められています。と同時に、「連帯」「連携」「共生」「共」といったスローガンの下で、さまざまな研究プロジェクトや実践が展開されています。そこには、産官学民のさまざまなセクターやアクターが参画しています。さまざまな制度が介在しています。本プロジェクトの各チームの研究と実践も、そうした動向の中に位置づけることのできるものです。
 こうした動向を促進することについてはコンセンサスが成立しているようですが、いざその動向をどのように捉え、どのように規定するのか、そして、どのように評価し、どのように展望するのかとなると、コンセンサス以前の討議や熟議さえ十分とは言えません。一方に、いささか楽観的な評価、他方に、いささか自信無げな批判が、並存しているだけになっています。例えば、「包摂」概念ひとつとっても、その用法と主対象は明らかに変化してきているのに、そのことすら整理されていません。基礎理論と目されるものの基礎概念である「社会正義」や「平等」についても同断です。
 本チームは、まず、この動向をそれとしてしっかりと捉えることを目ざします。そして、本プロジェクトの各チームをその動向に照らしながら、また、その動向に位置づけながら、共に議論し研究を進めていきます。

2014年度の活動報告

 2014年度は、昨年度からの研究活動と同様に取り組むとともに、継続した基礎研究のためのプロジェクト型研究や成果発信として連続した公開研究会・セミナーを開催した。プロジェクトについては、マイノリティにおける排除/包摂をめぐる基礎研究や母子世帯の子育ての困難をめぐる重層的な要因調査等をおこなった。公開研究会については、連続セミナー「障害/社会」(年度内5回)、「精神分析と倫理」研究会(年度内3回)のほか、国際学術企画「生存学の社会学」、障害学国際セミナー(於:韓国ソウル市)等を開催した。以上の成果については、報告書『インクルーシブ社会研究5 生存をめぐる制度・政策 連続セミナー「障害/社会」』やウェブサイト(www.arsvi.com)において発信した。

2013年度の活動報告

 2013年度は、基礎研究として(1)アーカイビング構築(2)公開研究会等の開催による「連帯」「共生」の理論的かつ実学的な検討を中心におこなった。
(1)日本の障害当事者による包摂/排除・支援への取組みに関する紙媒体資料をPDF化し、デジタル・アーカイビングの構築につとめた。また、東アジアについて韓国・中国における障害者に関する資料集積、一部を翻訳しウェブサイトに掲載した。(2)現代における「連帯」や「共生」をテーマとした公開研究会として、障害学国際セミナー、特別講義「生存/社会の現代史」、公開研究会「労働/生存――外国人労働者をめぐる運動と/の連帯」、映画上映・講演会「陸軍登戸研究所」のほか、株式会社むつき庵他と「老いを支える技法」を開催した。以上の成果は、ウェブサイト(www.arsvi.com)、報告書において成果発信する。

参加研究者

  • 小泉義之 (先端総合学術研究科 教授)
  • 立岩真也 (先端総合学術研究科 教授)
  • 松原洋子 (先端総合学術研究科 教授)
  • 大谷いづみ (産業社会学部 教授)
  • 渡辺克典 (衣笠総合研究機構 特別招聘准教授)
  • 村上潔 (衣笠総合研究機構 特別招聘准教授)
  • 天田城介 (中央大学文学部 教授)
  • 高誠晩 (立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員)
  • 中倉智徳 (立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員)
  • 植村要 (立命館グローバル・イノベーション研究機構 専門研究員)<!--2013年度まで 西成彦 (先端総合学術研究科・教授)
  • 安部彰 (衣笠総合研究機構・特別招聘准教授)
  • 小門穂 (衣笠総合研究機構・専門研究員)
  • 近藤宏 (衣笠総合研究機構・専門研究員)
  • クァク・ジョンナン (衣笠総合研究機構 専門研究員)
  • 橋口昌治 (衣笠総合研究機構 専門研究員)-->

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