えっせい

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より
「堪え性(こらえしょう)」

筆者: 土田 宣明   執筆: 2010年 月

 根性論が見え隠れするような「堪え性」という言葉は人間科学研究所のエッセイの表題にはふさわしくないのかもしれません。「堪え性」を辞書で引くと「がまんづよい性質。耐える気力。忍耐力」と出ています。「堪え性」なんて言葉は,死語になりつつあります。しかし,最近この言葉を身近に感じる出来事がありました。それは小惑星探査機「はやぶさ」の帰還です。

写真:大気圏に突入する「はやぶさ」NASA提供の写真より引用

 門外漢であり,詳しいことはわかりません。しかし,新聞記事などを読んでいると,このミッションの成功の裏には,様々な問題点を乗り越えた,科学者の側の「堪え性」があったことが分かります。詳しくは次のところをご覧ください(望月先生ご推薦です)。感動的なドキュメントとして描かれています(http://www.youtube.com/watch?v=6kZbeAK-vBE)。
「はやぶさ」は2003年5月9日に打ち上げられ,2005年夏に小惑星 イトカワに到達し,その表面を詳しく観測し,サンプル採集を試みた後,2010年6月13日60億キロメートルの旅を終えて地球に無事帰還しました。本体は大気圏で燃え尽き(流星になり),分離されたカプセルはオーストラリアにパラシュート降下しました。「はやぶさ」は,この7年間に渡る行程の中で,様々なトラブルに見舞われたのですが,周到な事前計画とまさに科学者の側の「堪え性」がそのトラブルを乗り切ったようです。

 このニュースを見聞きするにつれ,最近の,自分自身を含めた「堪え性」の無さが目立ってしまいます。目先のことに振り回され,すぐに答えを出そうとしたり,簡単に諦めることに慣れてしまっている自分を感じます。また,学生,院生の卒論,修士論文を指導する中で,最近「堪え性」の無さを痛感しています。なにか「問題」にぶつかると,簡単にテーマを変更してしまう傾向が強いように思えます。難事を極力回避する方が「スマート」なのかもしれませんがどうも生産的ではないようです。このような傾向が強い中で,7年後に「答え」が出るような,ましてどのような「問題」にぶつかるかさえ分からないような事態に備える,「はやぶさ」スタッフの「堪え性」に感銘を受けました。

 今年度,人間科学研究所は私立大学戦略的研究基盤形成支援事業に採択されました。3年間という短い期間ですが,多くの研究者や院生の皆さんに集まっていただき,「大学を模擬社会空間とした自立支援のための持続的対人援助モデルの構築」を目指していくことになります。3年間という期間が区切られている中,成果を挙げなければならない現実があります。ただ,一方で,「はやぶさ」の帰還にみられるような研究者の側の「堪え性」は忘れたくないものだとも思います。すぐには答えがみつからないものであっても,地道に粘り強く研究を進めたいものです。

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