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「「K」のパラダイムー官制から感性へ」

筆者: 桂良 太郎   執筆: 2008年 月

国際関係学部 桂 良太郎 教授筆者はながらくシルクロードの終着点といわれている奈良を中心にNPO活動に専念してきた。いまでも「奈良町」の再生にむけて都市景観はじめ、古都の環境保全とまちづくりにかかわるさまざまなNPOに顔を突っ込んでは行政との意見(官制)の相違や対立に苦慮している。今でも忘れもしないのが、JR奈良旧駅舎の保全活動である。学生や市民たちと駅舎の前で声をからしながら、当時解体を迫る奈良県、奈良市に対し、なんとかこの終着点を代表する近代遺産建築としての駅舎を保全するために多くの地元の市民や学生たちと署名を集めるためにJR旧駅舎のまえに立った。お陰でなんとかJR奈良旧駅舎は壊されずにすんだが今はその活用のありかたに苦慮しているところである。そこがどこにもある観光センターになる可能性があるからだ。

NPOを強化するための21世紀を展望したパースペクティブ(視角)をなんとか表現することはできないものかとペンを取ってみたのが下記の図であった。なんと後で気がついたことに、すべてのキーワードは「K」の頭文字がつくものばかりでないかと、大変驚いた。

要は、いままでの「まちづくり」も「都市再生」にまつわる諸計画もすべて行政は地元のことをよく知らない外部の専門家にゆだね、しかもその計画は、全体を見通し、総合的な視点にたって展望するような視角に欠けていた。このことが従来の都市計画のおおきな欠陥であることに気づかされた。

この図の説明をすこし記して、後は読み手の皆様方のソウゾウ(創造や想像)におまかせしたい。 まず筆者は3つの現代社会を取り巻くレベル(国際レベル、コミュニティレベル、家庭レベル)を設定し、それを大きく3つの社会変化(高齢少子社会から高速高齢少子社会へ、国際化社会から国際地球化社会へ、高度情報社会から高度情報消費社会へ)が存在していると見た。特にコミュニティレベルでは、3つの人間関係の型(交流型、共生型、協働型)がこれから重要になってくると考えた。そのコミュニティは家族が支えている。その家族レベルは現象学的には家庭レベルでもある。そのキーワードは、家庭内での子のしつけ(社会化)における「感性」ゆたかな「介護」のありかたにかかっているとみた。つまり家族の絆は共感と信頼から成り立つものである。その介護機能も感受性を養う機能もいまやある意味で外部化され、「家庭のない家族」の時代が到達しつつある。筆者は家族福祉研究を行ってきたが、いまや家族集団がそうした共感や信頼感をとりもどすためには、コミュニティの再生以外にないと考えている。人間同士が、知り合い(交流)、たすけあい(共生)、そして平和な福祉社会構築のためにお互いの違いをしっかり認め合い(多様性の尊重)ながら、地域を創造(協働)していくためには、「環境」問題と「健康」問題と「観光」問題をばらばらに取り扱うのではなく、根っこは同じものとして捉えるあたらしい視角(パースペクティブ)が要求されていると考えた。 

従来の行政中心、あえてこれを「官制」型の都市計画から、住民やNPO団体主体の「感性」あふれるまちづくりへの営みに転換させたい願いを込めてこの図をつくってみた。まさしく「K」の視点からみたまちづくり(NPO活動)を再点検のためにパースペクティブである。

この「K」のパラダイムで少しは、皆様方のあたまにあったもやもやは整理されたでしょうか。

以上

国際関係学部[br]桂 良太郎 教授

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