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エクスポージャー療法普及プロジェクトより
「不安と上手に付き合うための認知・行動療法」

筆者: 三田村仰 (総合心理学部 准教授 )   執筆: 2017年 12月

認知・行動療法とは

認知・行動療法とは,行動療法や認知療法および認知的・行動的な心理療法の総称です。認知・行動療法は,実証的な研究知見を基に,日々発展を続ける心理療法の一大グループです。認知・行動療法はさまざまな心理的・行動的問題に対し効果的であることが多くの実証研究から示されています。認知・行動療法が有効とされる心理的・行動的な問題の例には,ADHD(注意欠陥・多動性障害)双極性障害,境界性パーソナリティ障害,疼痛,うつ病,摂食障害,全般不安症,不眠,強迫症,パニック症,PTSD(心的外傷ストレス障害),統合失調症,社交不安,限局性恐怖症,物質・アルコール依存があります(米国心理学会webサイトより)。

不安症に有効な心理療法:エクスポージャー療法

認知・行動療法のなかでも特に重要な技法の一つは「エクスポージャー療法」というものです。エクスポージャー療法とは,不安や不快を感じさせるような刺激に対して,逃げるのではなく,あえて向き合っていくことによって,不安や不快を引き起こす刺激とより上手に付き合っていく方法を身体で学んでいく方法です。エクスポージャー療法はさまざまな心理的・行動的な問題に対して有効ですが,特にさまざまな不安に対しては,非常に効果的であることが実証研究から繰り返し確認されています。

効果的な技法の普及に向けて

エクスポージャー療法がそれほどに効果的なのであれば,何らかの不安に悩む人であればきっとその効果的な心理療法を受けたいと期待することでしょう。しかし現実には,このエクスポージャー療法を適切に実施できる実践家の数はまだまだ限られています。その理由の一つには,認知・行動療法に我が国に導入されたのが,我が国の心理療法の歴史から見れば,比較的最近であるということがあります。比較的新しい心理療法は,その心理療法を適切にトレーニングできるトレーナー自体が少ないのです。また別の理由として,不安や不快を感じさせるような刺激に対してあえて向き合うように促すというエクスポージャーの方法論に対して,実践家自身が及び腰になってしまうという現実もあります。これは我が国に限ったことではなく,認知・行動療法の普及がもっと進んだ欧米圏でも指摘されている現象です。

本プロジェクトでは,エクスポージャー療法という効果的な心理療法の技法を,より多くの実践家の人々に活用してもらうべく,エクスポージャー療法の実践家の養成方法について検討しています。また,このプロジェクトの一環として,認知・行動療法を学ぶ初学者向けのテキスト(『はじめてまなぶ行動療法』(金剛出版))も刊行しています。

『はじめてまなぶ行動療法』(金剛出版)
 

参考文献

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